ここはアリシハン城の端っこにある
名もない兵士達の詰め所。
予算の都合という名のエコ仕様なアイコンが
印象的な彼らは今日も今日とて、
世の不条理を風刺しつつも、
本作品の魅力をそれとなく遠回しに
語り明かすのであった。


 

「コンコンコン(ノック)」

「───三兵会は?」

「超サイコー」

「……よし入れ」

 

 

ガチャン。バタン。


 
 

「フー……」

「それで? 誰にもつけられなかっただろうな?」

「モチロンだとも。言われた通り通勤ルートを変え
『消え去れ草』も使った」

「乙。それでブツは? 例のブツは?」

「そう焦るな。ちゃんと秘密裏に確保してきたさ」

 

 

バサバサバサー!


 
 

「おおおぉぉっ!? マジか!
 すげえぇぇぇ! すげえ量のお便りの数!」

「わぁ! 前回、前々回とずーっと0通だったのに、
いきなり7通も来たんだ! すごいね~♪」

「パンティーは!? ギャルのパンティーは!?」

「いや、そんな世界中に散らばる竜の玉を7つ集めなきゃ
手に入らないようなアイテムの話をされてもな……」

「社畜の行動半径なんて、せいぜい半日で戻ってこられる範囲だけだよな」

「連休? なにそれどこのファンタジー世界の話?」

「いやいや世の中には、ちゃんと有給だって存在するよ?」

「さておき、使命は無事はたされたな!」

「ああ、ブラック経営者ことイザベラ王女に見つかる前に、
オレ達で確保する必要があったからな!」

「ああ、なるほどねー。王女様に見つかっちゃったら、
手柄をぜーんぶ持っていかれちゃうもんねー?」

「その通り! 王女様がチョロっとばかしお姿を見せたその次の週に、
こうもお便りがドバドバ届こうものなら、
我らの存在意義がしめやかに爆発四散しかねん!」

「実際BackWaterの陣さながらのマッポーめいた
危機的状況なのは確定的に明らか」

「それにお便りの内容も検閲……もといチェックしておかないと
『王女様サイコー! モブ兵士(゚⊿゚)イラネ』なんて書いてあったら、
また自宅警備員に逆戻りしちゃうしな!」

「兵士が斃死しちゃうってね!」

 

「HAHAHAHAHA!!!」


 

 

「って、誰!!?」


 

「んふふー♪ カワイイ王女様かと思った? ザーンネン♪
 女勇者のエステルちゃんでしたー♪」

「カワイイ!」

「エロイ!」

「逆レイプして欲しい!」

 

「ではなくて!!!」


 

「い、いったいいつから、この場所に!?」

「んーと……バックログ的には21ワード前くらい?」

「結構取り返しが付かないくらい前から居るウゥゥゥ!!!」

「もうこれダメかもわからんね」

「えへへー、それでそれで?
 どんなお便りがきたのカナー? ひょいっと♪」

「ひぎいいぃぃ! 見ちゃらめえええぇぇぇ!」

投稿者:ルーシー様
 メッセージ内容:『そりゃ可愛い女の子が座談会するならまだしも、
ただの兵士3人の駄弁り場にお便り送る人なんていませんよね』

 

「おっほおおおおおおぉぉ!!?」
(ビクンビクン)


 

「あははは♪ フルフェイスメットの隙間から泡が溢れてカニみたーい♪
 まさに痛恨の一撃だったみたいだね?」

「わ、我々の存在意義がああぁぁ……!」

「まさにニフ○ムで消えそうなキャラとは我々のことよ……」

「と、言うわけでぇ♪
 今回は~、存在意義がピンチな兵士ちゃん達に代わって~、
急遽ピンチヒッターにご登場してもらうことにしました-♪ 
それでは入場どうぞ~♪」

「ええと……こ、こんにちわ~」

「なんだよ、せまっちい場所だなぁ……全員入りきらないんじゃないか?
 ほら、もっと詰めて詰めて。あ、ユウは、その、ア、アタシにピッタリ
くっついていればいいからな

「あらあら、ほんと窮屈ねぇ~? うんしょ~、オッパイが邪魔でなかなか
奥に入れないかも~。あ、代わりにレーナちゃん先に入って~? 」

「クロ姉ってば、なにさりげに人のオッパイをディスってんのよぉ!
 アメリア姉も、どさくさに紛れてボクのユウに密着しないの!」

「うふふ、賑やかで楽しそうな場所ですね」

「ぬぉぉっ!? オッパイ祭り!?
 ではなく、アメリア殿達が、なぜここに!?」

「あれ? おかしいな……オレ、死んだ覚えないのに、
目の前にオッパイ……じゃなかった、イリス様がいるぞ?」

「ユーシアちゃーん! ワイやー! 結婚してくれー!」

「……あ、オッパイちゃん達だけじゃなくて、まだ他にもいるよ?」

「(コホー……コホー……コホー……)」

 

「……………………」


 

 

「歩く死亡フラグキターーー!!?」


 

「あははは♪ 大丈夫だいじょーぶ。今日はこうげきコマンドなしの、
無礼講でお願いってことにしてあるから♪」

「そ、それは本当ですか、隊長?」

「(コホー……コホー……コクン)」

「お、おおおぉぉ……ま、マジか……オレたち、
もうオチで全滅しなくていいのか!」

「出番がふえるよ! やったね兵士ちゃん!」

「そんなことより、ユウのいない間に、ちゃっかり2代目勇者の座についた
オマエが、いったいアタシらになんの用だってのさ」

「そうよそうよ! しかも、こんな狭くて暗くて男臭い引き篭もりニートの
汚部屋みたいな場所に呼びつけてさ! 
ボクのユウになにかあったら許さないんだから!」

「あらあら~、レーナちゃんてば、ユウちゃんをちゃっかり自分の物に
しようなんて~、お姉ちゃん、ちょ~っと見過ごせないなぁ」

「あわわわっ、みんな、落ち着いて~! ケ、ケンカはダメだよ! 
みんな仲良く! ね?」

「うぐ……」

「ま、まあ……ユウがそう言うなら……」

「あらあら~、アメリアちゃんもレーナちゃんもぉ、
ユウちゃんに上目使いでお願いされたらぁ、
すぐにしおらしくなっちゃうんだから~♪」

「うふふ、それだけ勇者様のカリスマ性が素晴らしいということですわ」

「まあまあ、今日は普段のイザコザを忘れて、
ユーザーさんからのお便りに、作品のヒロインとして
シッカリ応えてちょうだいなってことで♪」

「むぅ……仕方ないな。
ユーザーさんとユウのお願いは、断れないしな……」

「ん? 今ユーザさんのお願いは断れないって言ったかな?」

「聞いた聞いた。確かに聞いた」

「うむ、バックログにもしっかりと」

「や、やらしー方向に拡大解釈するんじゃないわよ、このド変態!
 クロ姉、ちょっと黙らせちゃって!」

「はいは~い♪ ちょっとお口とお鼻をチャックしましょうね~?
 マホ○ーン♪」

 

「モガモガモガ……!」
(ちょっ!? 息が! 息ができないんですがそれは!)


 

「よ~し、それじゃあ外野の声も静まったところで、
さっきのお便りの続きいくよ~!

『でも、せっかくCVが公開されたのでお便りを送ってみました。
 多くのお姉さんボイスが聞けて満足したのですが…やっぱりショタっ子
ユーシアのお声が最高!涙目にしたい…とても楽しみです!
 最後に何故エルメンヒルデ様に声が無いのか…!
中は美少女とかじゃないのか…!裏切ったな!僕の気持ちを裏切ったな!』


だって♪」

「はわわわわっ!? な、涙目って……あううぅ……」

「やっぱり、キャスティングを発表した後だけあって、
声に関するお便りが多いみたいだね~。他にも

 投稿者:勇者ちゃんprpr様
 メッセージ:柚原みうさんのショタ声たまらんですハアハア
 ショタエロゲは数あれどショタっ子ボイス抜き
というド外道なゲームが多い中
あえてショタ声を実装したスタッフの先見の明には脱帽ですわwww


とか

「投稿者:ruka様
 メッセージ:こんにちは!おねしょた大好き人間です。
 最近おねしょた系のゲームをしてて思うのですがヒロインのほうに
興奮してるのか、ショタのほうに興奮してるのか
わからなくなってきました...
 これってそっちの気もあるってことなんでしょうか?
 P.S ユーシアの声サイコーですb


 だって♪ いや~、勇者クン大人気だねぇ♪」

「はうううぅ……あ、ありがとうございます。
嬉しいけど……でも、は、恥ずかしいよぉ……」

「まあ、ユウの声は確かにカワイイよな! アタシも大好きだぞ

「ボ、ボクも! ボクだって、ユウのへにょへにょ~っとした
情けないトロ声大好きなんだからね!」

「レーナちゃん~、それ微妙に褒めてないような~?」

「まあ、ショタ勇者クンの声の実装には、
スタッフも並々ならぬコダワリとプッシュがあったらしいんで、
そこを評価してもらえるとすごく嬉しいみたいだね♪」

「聞くところによると、勇者クンの声が見事に予算を圧迫しちゃってて、
最後の最後までどうするか悩んだみたいだけど
 『おねショタものでショタのカワイイ声がないとかありえん!
 ショタはお姉ちゃんに勝とも劣らない重要なファクターだ!』
 って  会議で熱弁を振るって周囲をドン引き……
もとい、見事に説得したらしいよ~?」

「そ、そんな開発秘話があったんだ。
でも、やっぱりちょっと恥ずかしいかも……」

「んっふっふ、ゲーム中でもお姉ちゃん達にい~っぱい、
カワイイ声で泣かされちゃってるもんねぇ?
 なんなら~、今ここであたしが優しく泣かせてあげようか~?」

「ふえええぇぇっ!?」

「ええい、させるか!」

「油断も隙もない!」

「ありゃ、ざ~んねん♪ じゃあ、逆にキャストが発表されず、
惜しまれてる隊長クンはどんな感じなのかな?」

「……………………(汗)」

「返事がない。通訳が必要なようだ」

「え? でも、兵士さん達は……」

 

……………………(白目)


 

「返事がない。ただのしかばねのようだ~」

「あらあら、我が教会にいつもご寄付ありがとうございます

 

「似たもの母娘だ……」


 

「ん~、意外や意外。兵士ちゃん達にも
ちゃーんと存在意義があったんだね~、失敗失敗♪」

「いや、あの……そんな、テヘペロって感じの状況じゃないような……」

「ま、ヤっちゃったものは仕方ないし、
結構長くなっちゃったから、今回はここまでにして、
次回またお便りの返事の続きをするってことで~♪」

「ふええぇぇっ!? え、このままにしちゃうの!?
 兵士さん達、こんなオチでいいの!?」

「お便りをくれた【僕はイリスルート希望】さん【赤いM】さん
【がんばれ♪がんばれ♪】さん【ゆきは】さん、
次回こそちゃんとお返事するから、もうちょっとだけ待っててね~♪」

 

「それでは、また来週~


 
 

 

兵士達はぜんめつしてしまった!


 
 
 

 

次週「おお、兵士達よ。乗っ取られるとは何事だ」
乞うご期待!


 
 

「あうううぅ……みんな豪快すぎだよぉ……」

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