ここはアリシハン城の端っこにある
名もない兵士達の詰め所。
予算の都合という名のエコ仕様なアイコンが
印象的な彼らは今日も今日とて、
世の不条理を風刺しつつも、
本作品の魅力をそれとなく遠回しに
語り明かすのであった。


 
 

「お疲れ-。フーやれやれ。今日も疲れたな」

「乙ー。最近、梅雨の時期だし、鎧姿で立ち仕事とか
これなんて罰ゲーム?」

「まあ、経歴年齢不問、無資格でもOKなアットホームな職場です♪
 って時点で(あ、察し……)だろう」

「アットホームとはいったい……うごごご」

「フルアーマーって、雨の中で突っ立ってるだけで
水死できるんだよな……」

「J○S規格? なにそれ美味しいの?」

「拝啓、田舎のお母さん、元気にしてますか?
 アリシハンは……都会は、厳しいところです……」

「それにしても梅雨時の剣道部の部室のような珍妙なスメルが、
鎧の内側からこみ上げてくるでゴザルな」

「うむ、有り体に言ってモテない男臭だな」

「前回、せっかく念願のカラーをてにいれた! だったのになぁ。
カビ臭さハンパないんだが。もういっそコレ、脱いじゃってもよくね?」

「タダでさえ予算も時間もいっぱいいっぱいなのに、
これ以上ムチャな要求が通るワケないと思うが……」

「待てよ。そいつは認められん。認められんよ」

「C……? ど、どうしたのだ突然……」

「C……おまえ……梅雨時は食べ物が傷みやすいと、
アレだけ言ってやったのに……」

「ワイ達がこの鎧を着続けることで、予算が浮くというなら……
ワイ達は、たとえ業火の中でもこの鎧を着続け、その分一枚でも
多くエロましいCGに力を注がせてやるべきだ。ちがうか?」

「C……おまえ……」

「ワイ達はしょせん、ただの名もなきモブ兵の1匹かもしれん。
誰も話しかけてこない雨の中『アリシハンのお城へようこそ!』
と連呼するだけの空しい存在なのかもしれん」

「けど……ワイらが、そうすることで……その役を全うすることで、
少しでも制作陣が楽になって……その分、エロに力を入れられるなら……
それって、素晴らしいことなんじゃないか?」

 

「C……」


 

「……フ。そうだな。モブにはモブの、
社畜兵には社畜兵なりのプライドってものがあったな」

「ヘ……カッコイイじゃねえかよC。
お前いま、サイコーに輝いてるぜ……鈍い錆色にな!」

「オウフ。どうりで妙に間接がギコチナイと思ったでゴザル」

「よぉし! こうなったら、サービス残業上等で
働いてやろうじゃないか!」

「おいおい、待てよA。お前だけにカッコイイ真似はさせねーぜ?」

「ウム。たとえ今週、お便りのメールが一通も来なくて、
死ぬほどネタに困っていたとしても、ムリヤリ盛り上げて
行間を埋めてこそ、我らの真骨頂というもの」

「フフ……お前ら……さすがは職安巡りを共にした、同士達……!」

「なぁに、全てはエロの為さ」

「そう、全てはエロの為に」

 

「全てはエロの為に!!!」


 

「ふむ……そこな、兵士よ。ちょっと尋ねたいことがあるのだが……」

「よし、それじゃあ征くぞ! 『ようこそ! アリシハンのお城へ!』」

「シャース、アリシハンウェイ!」

「今夜はお楽しみでしたね?」

「いや、だから……尋ねたいことが」

「まだまだぁ!『ようこそ! 魔王よりも魔王らしい
職場環境が素敵なアリシハンのお城へ!』」

「シャース、ウッス、ウイッス、アザースザース」

「ご一緒にポテトもいかがですか?」

「おっしゃぁ! その調子でガンガンやろうぜ! ようこそ……!、」

「いい加減にせんかああああぁぁっ!!!」

「あんぎゃあああああぁぁ!!?」

「Cーーーーーーっ!?」

「お、おのれナニヤツ!?」

「何やつではない! まったく、
この国の兵士はロクに旅人の話も聞かぬのか。そもそも、
他人に名を尋ねる時は、まずは自分から名乗るのが礼儀……」

 

「キターーーっ!!?
 大和撫子な武士っ娘キターーーーー!!?」


 

「なぁっ!? ななななっっ!?」

「おおう、この初々しく、男に馴れていない純な反応!
 反して強烈に自己主張する、サラシの下に息づく、
隠しきれないわがままなバディ!」

「刀! 黒髪! 刀! 黒髪!」

「ブヒイイイィィ! ブヒブヒ!」

「な、ななな、なんなのだ此奴らはぁ!?」

「ちょっと、武士っ娘ちゃん。道を尋ねるだけなのに、
なにをモタモタしてんのさ。ヤレヤレ、
これだから鈍くさい処女は、メンドクサイのよねェ」

「しょ、処女とか言うなーーー!?」

「フム。そんなネンネで大丈夫か?」

「大丈夫じゃないわ。問題だわねェ」

「問題なのはおぬしらの性格の方だーーー!!!」

「なんとぉぉぉ!!? 武士ッ娘に続き、
サバサバ系の黒肌ハーフエルフのお姉様に、
不思議クールなロリ忍者までえええぇぇ!?
 って、聞きました奥様! 今処女って処女って言いましたザマスよ!?」

「黒肌! とんがり耳! 黒肌! とんがり耳!」

「ドーモ、クーデレニンジャ=サン。ヘイシCデス」

「ええい、やかましい!? 先からなんなのだおまえらは!」

「うむ! よくぞ聞いてくれた! 我こそは、
ようこそアシハンのお城へ連呼マシーンソルジャーこと兵士Aだ!」

「同じくB!」

「上と共にC!」

 

「3人そろって社畜戦隊モブレンジャー!!!」
ババーン!!!


 

「………………(呆気)」

「………………(ゴミを見るような目)」

「パチパチパチ(拍手)」

「さておき、異国の素敵な武士レディーよ。
ここで出会ったのもなにかの運命。ぜひ近くの酒場で、
アナタのその麗しい瞳に、私のアイアンボディーを映させて欲しいのだが」

「ハァハァ! 良いッス! その汚物を見るような蔑んだ瞳!
 ハートに突き刺さりそうな尖った耳! 練乳的な白濁液が映えそうな黒い肌! ぜひともオレと夜の異種族間交流をオナシャス!」

「アイエエエエ! ニンジャ!? ニンジャナンデ!?」

「~~~~~っ!!! ええい、疾く去ねぇぇっ!!! 
『秘技・五月雨斬り』!!!

「ハン、粗チンの早漏ボウヤじゃ役者不足だよ。出直しておいで
『艶技・亀甲アヘ顔縛り鞭しばき乱舞』!

「んむ。じゃあテキトーに『忍法・鎧の隙間に水遁の術』~」

ズバ! ズババババ!
 キュキュキュ! ビシバシビシバシ!

 じょぼぼぼぼ……。

ぬわーーーーっ!!?

ありがとうございます!

「ぶくぶくぶく……」

 

 

兵士達はぜんめつしてしまった!


 
 
 

 

次週「お便りがないのは元気な証拠!(泣)」
乞うご期待!


 
 

「はぁはぁ……ま、まったくなんだったのだ……いったい……」

「知らないわよ。ほら、さっさと行くわよ、大和処女ちゃん?」

「だ、だだだ、だから処女とか云うなぁぁっ!!!」

「ニンニン」

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